開催報告 第5回日中出版界友好交流会東京で盛大に開催
福田康夫 元総理大臣から祝辞
来賓として、中国側から任惠霊団長をはじめ駐日中国大使館の薛剣公使参事官、また日本側から衆議院議員で日中友好議員連盟の近藤昭一幹事長、参議院の西田実仁議員、日本書籍出版協会の中町英樹専務理事が出席した。 交流会は、日中の出版界はもとより大手メディアの関心も高く、日本の共同通信、NHK、朝日新聞、毎日新聞、AERA、そして中国の新華通訊社、人民日報、中新社、経済日報など各社が取材、それぞれ大きく報道した。 席上、元内閣総理大臣の福田康夫氏から送られた祝辞が披露され、「日中関係は現在、さまざまな困難に直面しているが、日中間の4つの政治文書の精神に基づき、双方の出版界が相互交流を進めること、また相互理解を深めるために有益な書物を世に出すことは、新たな日中関係構築のためにも非常に重要であると信じる。来年は日中国交正常化45周年。皆様が今回の交流会を機に、日本と中国の出版交流と相互理解の促進、ひいては日中の平和と友好のために、益々活躍されるよう期待する」などとする内容が読み上げられた。 続いて任惠霊団長があいさつ。 「中日出版界のさらに深い交流・協力を通して、より多くの中国の読者に日本の優れた本を、日本の読者に中国の優れた本を読んでもらい、両国民の相互理解と友誼を深めたい」として、それを実現させるために、①(ノーベル賞作家)莫言や村上春樹などの作品が日中双方で翻訳され人気を集めているように、さらに翻訳書のクオリティーを上げ、数を増やすこと ②(1年間の「人民日報」から重要記事を厳選し収録した)『必読!今、中国が面白い』(日本僑報社刊)が日本の大手メディアや読者の好評を博しているように、出版社が良質な書籍を絶えず発掘し、世に出し続けること ③外国作品に接する過程で、相手国への理解も深まることから、書物を介して、中日友好を促進すること――といった3つの具体的な提言があった。
来賓のあいさつに続き、基調講演として「日中関係と文化交流」と題し、元中国大使の宮本雄二氏(日中友好会館副会長、日中関係学会会長、凸版印刷顧問)が講演。 「安定した日中間の構築は両国の絶対的な国益であり、これをどう実現するかが問題だ。それには正確な相互理解が必要で、相互理解は文化交流から生まれる。相手の歴史と文化を学べば、相手に対する尊敬につながる。単なる『友好協力』の掛け声ではなく、相手に対する尊敬の気持ちがなければならない」として、南宋時代の日中仏教交流の歴史を紹介した上で、「日本と中国は、社会として、まず相手に対する『感恩』の気持ちを取り戻すべきだ。これこそが相手との関係の位置付けを考える出発点だ」などと、交流の原点として、まずは互いに敬うこことの大切さを訴えた。
続くパネルディスカッションでは「両国関係改善における出版界の課題」として日中の出版関係者、作家、翻訳家らをパネリストに迎えて、幅広い討議を行った。
パネリストとして、中国側から王昕朋氏(中国国務院所属出版社・中国言實出版社社長)、袁麗娟氏(山東人民出版社副編集長)、日本側から南晋三氏(潮出版社代表取締役社長)、作家の石川好氏(『湖南省と日本の交流素描』著者)、翻訳家の三潴正道氏(麗澤大学特任教授)、日本僑報社の段躍中編集長が出席。
中国側からは「今回初めて東京国際ブックフェア(9月23~25日に開催)、出版界友好交流会に出席した。ブックフェアではさまざまな本が出版されていることに啓発されたが、中国の作家の参加が非常に少ないと感じた。これから日本の読者を集めて討論するなど、集まる場を作ることが大切だ」(王昕朋氏)、また日本側からは「文化交流で最も重要なのは翻訳だ。翻訳を通して、お互いの国が抱えているものを公開することで、日中関係が発展する」(石川好氏)、「出版をやっていく上では翻訳者が大切だが、これが非常にお寒い状況だ。日本企業の中国の裁判所に持ち込まれる争いの10%は、翻訳の誤りが原因だ。人材が不足している。出版界と協力しながら育てていきたい」(三潴正道氏)など、日中の出版交流促進と、両国関係の改善を考えるさまざまな意見が出された。
参議院の 西田実仁議員挨拶
日中大手マスコミの報道――第5回日中出版界友好交流会
会社案内 ・ 段躍中のページ : 〒171-0021 東京都豊島区西池袋3-17-15湖南会館内 TEL 03-5956-2808 FAX 03-5956-2809■E-mail info@duan.jp 広告募集中 詳しくは係まで:info2@duan.jp このウェブサイトの著作権は日本僑報社にあります。掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。